自動車検査員の試験で、多くの方が不安に思われるであろう制動力の計算問題ですが、分かってしまえば難しい計算式ではありません。
試験対策の導入としてざっくりと解説していきます。ニュートンだろうが、kgfだろうが考え方は同じなので、焦らずゆっくり読んでください。
問題の不要な数値等に惑わされないように、難しく考えずに解いていきましょう。
目次
まず問題から必要な数値を抜き出す
制動力の問題で、車両情報として必要なものは2つです。
◎前軸重
◎後軸重
この2つのみです。乗車定員や車両総重量など不要な数値が記載されている問題がありますが、無視して構わないかと思います。
ただし、前軸重については、そのままでは計算に使えません。次に解説していきます。
審査時の重量に変える
次に実際の計算で使う数値3つを出しておきます。
①審査時の前軸重(前軸重+55㎏)
②後軸重(そのまま)
③審査時車両重量(前軸重+後軸重+55㎏)
ま、運転手の体重を足しただけですね。
②後軸重についてはそのまま使いますのでご注意を。
テスタの計測値から必要な数値を出す
続いて、テスタの数値から必要な数をだしておきます。
ざっくり言うと求めるのは、
◎左右差の割合
・前軸
・後軸
◎制動力の割合
・後軸
・総和(前後合計)
・サイドブレーキ
この5つ。前軸は左右差だけ求めたらOK、サイドブレーキは左右差は不要です。
以上のことを頭に入れたうえで、テスタの計測値から出しておく数値としては、
④前ブレーキの左右差
⑤後ブレーキの左右差
⑥後ブレーキの左右合計
⑦総和(ブレーキの合計)
⑧サイドブレーキの左右合計
これら8つ(車両情報から3つ・テスタから5つ)の数値が計算で使用する数値です。
左右差の計算
左右差の割合は
・前軸
・後軸
の2つについて出せばいいだけです。
前軸の左右差の式
④前ブレーキの左右差 ÷ ①審査時の前軸重
kgfの場合は、この数値に100をかけて%表示にしてください。
また、小数点以下の処理については、問題文に従ってください。
後軸の左右差の式
⑤後ブレーキの差 ÷ ②後軸重
kgfの場合は、この数値に100をかけて%表示にしてください。
また、小数点以下の処理については、問題文に従ってください。
制動力の計算
制動力の割合については、
・後軸
・総和
・サイドブレーキ
の3つについて求めていきます。
後軸の制動力の式
⑥後ブレーキの左右合計 ÷ ②後軸重
kgfの場合は、この数値に100をかけて%表示にしてください。
また、小数点以下の処理については、問題文に従ってください。
総和の制動力の式
⑦総和(ブレーキの合計) ÷ ③審査時車両重量
kgfの場合は、この数値に100をかけて%表示にしてください。
また、小数点以下の処理については、問題文に従ってください。
サイドブレーキの制動力の式
⑧サイドブレーキの左右合計 ÷ ③審査時車両重量
kgfの場合は、この数値に100をかけて%表示にしてください。
また、小数点以下の処理については、問題文に従ってください。
基準値について
以上の計算で、それぞれ数値は出せたと思いますが、以上の式と一緒に、基準値について覚えておく必要があります。
ニュートンとkgfそれぞれで記載しておきます。
ニュートンの基準値
◎左右差: 0.78 N/kg以下
◎後軸制動力: 0.98 N/kg以上
◎総和: 4.90 N/kg以上
◎サイドブレーキ: 1.96 N/kg以上
※降雨時は総和の4.90N/kgを3.92N/kgに読み替え
kgfの基準値
◎左右差: 8%以下
◎後軸制動力: 10%以上
◎総和: 50%以上
◎サイドブレーキ: 20%以上
※降雨時は総和の50%を40%に読み替え
まとめ
いかがだったでしょうか。
焦らず読めば、それぞれの式は簡単だと思います。
◎ニュートンの場合は、計算の数値がそのまま使えるので楽だが、基準値を覚えにくい。
◎kgfの場合は、計算の数値に100を掛けて%表示にする必要があるが、基準値を覚えやすい。
といったところでしょうか。
小数点以下の処理については、左右差が切り上げ、制動力が切り下げの問題がほとんどだと思いますが、それぞれの問題文をよく読んで従ってください。
また、制動力の計算シートを作成してありますので、自動車検査員の試問の自己採点や、練習問題の答え合わせ用に良かったら使ってください。
※解説の続編をアップしました。N:ニュートンの解説は近いうちにアップします。