ブレーキ計算問題解説と練習問題(kgf)

それでは、もう少し実際の問題に即して説明していきたいと思います。

まだ以前の解説を読んでない人はざっと読んでからコチラの記事を読んでください。

自動車検査員の試験で、多くの方が不安に思われるであろう制動力の計算問題ですが、分かってしまえば難しい計算式では…

諸元から読み取るもの

では、問題の中に下記の諸元が記載されているとします。

諸元(自動車検査証)

・前軸重 1,000㎏

・後軸重 900㎏

以前の解説でも書きましたが、乗車定員や最高速度などなど、計算に関係ない諸元が記載されていることがありますが、制動力の計算では無視しても大丈夫です。

とりあえず、審査時車両状態(運転席に1人乗った状態)の各重量を出しておきましょう。

確認がてら少し問題形式とします。

審査時の前軸重は?(クリックで解答)
1,055㎏ (諸元の前軸重に55㎏足したもの)
審査時の後軸重は?(クリックで解答)
900㎏ (そのまま)
審査時の車両重量は?(クリックで解答)
1,955㎏ (上の2つを足したものですね)

実際に問題を解く際には、この数値を問題用紙の余白に必ずメモしましょう。

前軸に関する計算

続いて、ブレーキテスタの測定結果ですが、まずは前軸の測定結果が以下となっているとします。

前軸の制動力

・右 410kgf

・左 320kgf

では、左右差の割合を求めましょう。

式は覚えていますか?

左右差 ÷ 審査時前軸重 × 100 です。

kgfの問題の場合は、割合を求めるので、答えは%で出します。

ですから、100を掛けることを忘れないでくださいね。

左右差は単純に大きい方から小さい方を引く引き算なので410㎏f-320㎏f=90㎏fですね。

審査時前軸重は上で出しましたね。1,055㎏です。

なので左右差の割合は、

90 ÷ 1,055 × 100 = 8.530805…..

少数点以下の処理については、問題文の指示に従ってください。

(四捨五入の地域などもあるようです)

ここでは仮に小数点第2以下を切り上げとします。

ですので、答え(前軸の左右差の割合)は8.6%となります。

車検に合格するには、8%以下が判定基準値ですので、不合格です。

前軸に関することは以上です。

後軸に関する計算

続いて、後軸の測定結果が以下のとおりとなっているとします。

後軸の制動力

・右 130kgf

・左 190kgf

左右差の割合

まずは、前軸と同じように、左右差の割合から出してみましょう。

左右差 ÷ 後軸重 × 100

です。

後軸に関しては、運転者の体重の影響を受けないものとするので、数値は諸元をそのまま使います。

また、前軸の項でも書きましたが、割合を求める問題ですので、最後に100を掛けるのを忘れないようにしてください。

左右差は、190kgf - 130kgf  = 60kgf

後軸重は諸元のとおり、900㎏

これを式に当てはめて

60 ÷ 900 × 100 = 6.666…

少数点以下の処理については、問題文の指示に従ってください。

(四捨五入の地域などもあるようです)

ここでは仮に小数点第2以下を切り上げとします。

ですので、答え(後軸の左右差の割合)は6.7%となります

車検に合格するには、8%以下が判定基準値ですので、合格です。

制動力の割合

後軸に関しては、制動力の割合も求める必要があります。

式は覚えていますか?

後ブレーキの左右合計 ÷ 後軸重 × 100 です。

何度も言いますが、後軸重は諸元をそのまま使うことと、割合を求めるので最後に100を掛けることを忘れないようにしましょう。

後ろブレーキの合計は、130kgf + 190kgf = 320kgf

後軸重は、900㎏

なので、これを式に当てはめて、

320 ÷ 900 × 100 = 35.555…

少数点以下の処理については、問題文の指示に従ってください。

(四捨五入の地域などもあるようです)

ここでは仮に小数点第2以下を切り捨てとします。

ですので、答え(後軸の制動力の割合)は35.5%となります。

車検に合格するには、10%以上が判定基準値ですので、合格です。

これで後軸に関する計算は以上です。

総和に関する計算

では、総和(前後ブレーキの合計)の計算です。

単純に全て合計したものですね。

もう一度、上記と同じ諸元とブレーキテスタの数値を記載しておきます。

諸元(自動車検査証)

・前軸重 1,000㎏

・後軸重 900㎏

前軸の制動力

・右 410kgf

・左 320kgf

後軸の制動力

・右 130kgf

・左 190kgf

まずは、審査時車両重量を出してみましょう。

運転席に1人乗った状態を想定するので、55㎏プラスします。

1000㎏ + 900㎏ + 55㎏ = 1955㎏

次に、制動力の合計を出します。

単純に合計でオッケーです。

410kgf + 320kgf + 130kgf + 190kgf = 1050kgf

式は、制動力の総和 ÷ 審査時車両重量 × 100 です。

先に出した数値を、この式に当てはめます。

1050 ÷ 1955 × 100 = 53.7084…

少数点以下の処理については、問題文の指示に従ってください。

(四捨五入の地域などもあるようです)

ここでは仮に小数点第2以下を切り捨てとします。

ですので、答え(制動力総和の割合)は53.7%となります。

車検に合格するには、50%以上が判定基準値ですので、合格です。

ここで一つ注意

雨天時でテスタのローラが濡れている場合は判定値が40%になります。

この例題では50%を超えていますので、どちらでも合格ですが、仮に50%を下回った数値が出ても、雨天時でテスタのローラが濡れている場合は40%以上で合格となります。

(例:制動力の割合 43% 雨天時でローラが濡れている → 合格)

なので、問題文はよく読んで、見落としがないようにしましょう。

サイドブレーキに関する問題

最後にサイドブレーキの割合の式です。

サイドブレーキ左右の合計 ÷ 審査時車両重量 × 100

ブレーキテスタの数値は以下のとおりとします。

駐車ブレーキの制動力

・右 180kgf

・左 190kgf

実際の問題に即して、左右それぞれの数値を例として挙げましたが、サイドブレーキの数値は左右合計しかしませんので、とっとと足しましょう。

180kgf + 190kgf = 370kgf

審査時車両重量は総和の項でも出しましたね。

1000㎏ + 900㎏ + 55㎏ = 1955㎏

この数値を式に当てはめます。

370 ÷ 1955 × 100 = 18.925…

少数点以下の処理については、問題文の指示に従ってください。

(四捨五入の地域などもあるようです)

ここでは仮に小数点第2以下を切り捨てとします。

ですので、答え(サイドブレーキの割合)は18.9%となります。

車検に合格するには、20%以上が判定基準値ですので、不合格です。

サイドブレーキ関する計算は以上です。

まとめ

だいたい感じは掴めたでしょうか。

使う数値は少しずつ違いますが、ざっくりいうと

ブレーキテスタの数値 を 重量 で割って 100を掛ける

ということになります。

それぞれの項目で、どの数値を使うのか何を何で割るのか判定値は何か

この3つは何度か問題を解きながら覚えていけると思います。

また、問題に出てくる数値を加工して使用する数値

・審査前軸重

・審査時車両重量

・左右差

・サイドブレーキ合計

などは、先に計算して、自分が分かりやすいように余白にメモしておくのも大事かと思います。

ただ、人それぞれにやりやすい方法があると思いますので、電卓とメモを用意して、慣れるまで解いてみましょう。

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